インターネット会議が一気に普及した

リモートワークの定着は、今回の新型ウイルス騒動で最大のポジティブな遺産となりそうです。在宅勤務・テレワークなどいろんな言い方がありますが、要はインターネットを使ったやりとりで仕事をすることです。

電子申請を受け付けない、などは論外ですが、郵便や窓口で書類を出すのを認めていることが、すでに国際的には時代遅れです。

営業でも足を棒にして訪問して置いてきた名刺の枚数で熱意を認めてもらうとか、テレビ会議ではなんとなく隔靴掻痒〔かっかそうよう:はがゆくもどかしいこと〕であるとかいって、海外でごく当たり前にやれていることが進みませんでした。

社員にITスキルがないとか、社内体制がきちんと組めていないところは別ですが、できるのに惰性で会合にこだわる人が多かったようです。

▲インターネット会議が一気に普及した イメージ:PIXTA

大企業で働いている私の身内たちに聞いても、2月に不要不急の出張が禁止され、会議もネットでとなり、これまで定期的な打ち合わせで工場に行っていたのが、ネットでの打ち合わせに代わったそうです。

工場とか営業とかは体育会系の人が多く、顔を合わせるのを好む傾向がありましたが、仕方なくネットでやってみたら、旧いタイプの人も便利さに気付き、定着しそうだといいます。

3月になると準備を終えて、翌日から出社禁止になったそうです。例外はその日に出張などで出勤していなかった人だけで、そのあと5月中旬まで出勤しなかったといいます。

リモートワークで見えた今後の課題

製品の取り扱い説明講習でも、会場でスクリーンに映し出して実演を見せるより、手元のパソコン画面に映し出したほうがわかりやすいことが発見されました。

年度末のクライアントへの説明もネット会議になりましたが、これまで参加していなかった海外の協力会社の幹部まで出席して、議論するようになりました。

また、これまでであれば区切りのよいところで、まとめて疑問点の指摘をしていたところが、頻繁に問い合わせが来るようになり、テレワークでも暇ではないようです。

採用活動もネット面接ですが、地方在住の大学生にとっては、これまでより断然有利になると噂されています。

何かと印鑑を要求することも、リモートワークの妨げとなることが明らかになり、業界と縁の深いIT担当大臣も流れに抵抗できなくなりました。ネット食事会・飲み会も盛んらしく、朝食会まであるそうです。

リモートで何か支障があるかというと、会社のサーバーのキャパシティがネックになったり、在宅勤務の増加やゲームをする人が増えたせいで住宅地のネットのスピードが落ちたりしていることです。

1台のパソコンをめぐり家族で取り合いになることもあるとか。いずれも急なことだったが故の問題で、今後は改善されるでしょう。

意外に多いのは、自宅の椅子が長時間の作業には向かず、腰が痛くなったとかいうこと。そもそも日本人はもっと家具にお金をかけるべきです。

リモートワークは、育児や介護などとの両立にも有益です。1週間に3日だけの出勤で十分な仕事は多いはずです。

ただ一般的には、リモートワークは地方分散に資するはずですが、出張禁止が行き過ぎると、地方の人が東京に出て行く機会が減って、不利になる恐れがあります。

本当地方分散支障がないようにするためには、首都機能東京から移転してさまざまな制度東京人本位論理から解放することでしょう