憧れの坂田銀時になっている気分です(笑)
――海外向けの電子書店員として、どのようなお仕事をされていますでしょうか?
B☆Wトーマス そうですね。国内と比べるとまだまだ小さい部署なので、販売企画だけではなく、電子書籍の配信作業、新規取引先出版社や作品の獲得、Globalストア独占キャンペーンに関する業務を担当してます。憧れの坂田銀時のように万事屋(よろづや)になっている気分です(笑)。
――『銀魂』読まれているんですね! 電子書店員として「面白さ」を感じるのは、どんな時でしょうか?
B☆Wトーマス 最近ですと、SNSの呟きで直接お客さんとコミュニケーションを取ることに面白さを感じています。電子書店にとって情報は武器ですので、できるだけユーザーに作品やキャンペーンに関して重要な情報を伝える。そして出版社やユーザーの投稿から情報を頂いたりもしています。
――SNSでのコミュニケーションとは、具体的にどんな感じでしょうか?
B☆Wトーマス 海外の出版社ともSNSで繋がり、出版社からの情報を配信したり、ユーザーから発売日や英語版を希望する問い合わせに対応するなど、何でもありですね。
――ユーザーからの問い合わせで、キャンペーンなどの企画が生まれたりすることも?
B☆Wトーマス ありますね。面白そうな作品を教えてもらったら、チェックして次のキャンペーンで対応する、みたいなことも。
――なるほど、SNSでのコミュニケーションも大切なんですね。それでは次に、電子書店員としての発見や悩みなどはありましたか?
B☆Wトーマス 当たり前のことなんですが、電子書籍はデータを差し替えることができることに、最初は驚きました(笑)。ドイツ出身なんですが、ドイツはまだ電子が弱くて、だいたい紙が定番なんです。日本に来るまでは、電子と全く関わりがなかったので。紙の書籍は、間違いがあると再び印刷する必要がありますが、電子では手軽に何度もバージョンアップできますからね。
悩みは……Globalストアの拠点は日本にあるため、やはり時差というところでしょうか(笑)。取引先の多くは、アメリカやヨーロッパにありますので、常に時差を踏まえて仕事に努めなければならないです。
――時差は確かに大変ですね。
B☆Wトーマス そうですね。例えば電話をするなら、日本時間の朝にしかできないですね。けっこう朝早く、8時とか9時に電話する感じです。あとはバカンスを大事にしている人が多いので、数週間連絡が取れないこともあったりするので、その期間も含めて企画をしないといけない(笑)。
――グローバルっぽいです(笑)。ちなみにGlobalストアで売れているのは、どんな本でしょうか?
B☆Wトーマス 日本と同じで異世界などのジャンルは、いま非常に人気です。海外はアニメきっかけで、ほとんどのユーザーがアニメを見て、これ面白いからって検索をする傾向がありますね。あとは男性ユーザーが多いストアなので、ちょっとエッチな恋愛作品もかなり売れています。その代表作は、流石景先生の『ドメスティックな彼女』ですね。
――異世界はジャンルは世界共通なんですね。意外と海外ではこんな本が売れています、などはありますか?
B☆Wトーマス 意外というか、日本国内ではあまりニュースにならないLGBT+作品が浮かびます。念のための説明になりますが、LGBT+は「Lesbian, Gay, Bisexual, Transgender/Transsexual plus」の通称で、最近では海外の出版社が次々とLGBT+作品をライセンスし、販売していますね。
――トーマスさんが、海外ユーザーに推したい日本の作品はありますか?
B☆Wトーマス いま1番推したい作品は、蘇募ロウ先生の『なんでここに先生が!?』と、吉岡公威先生の『てんぷる』です。ちょうど先週、Globalストアでの英語版独占配信を発表させていただきました。発売になったら、ぜひ英語でご賞味あれ!
――急にCMっぽく(笑)。いま取り組んでいることや、これから取り組みたいことなどはありますでしょうか?
B☆Wトーマス いま取り組みたいのは、サブスクリプションサービスですね。Globalストアにはまだないのですが、海外ではマンガのサブスク系サービスが、ちょこちょこ出始めたので、ユーザーにもっと作品を読んでもらえる手段としていいと思います。
――これからの海外電子書店について、思うところなどありますでしょうか?
B☆Wトーマス 今回のコロナ禍を経験したことで、将来的に電子書籍と電子書店の需要が更に上がると予測されます。そのため、ただ売るだけではなく、独占や先行配信、ポイント制度、サブスクリプションなどの手段で、お客さんに多くのバリューを与えることが大事です。
また「海賊版」という問題も大きくあり、正規に翻訳されている作品も限られています。今後はクラウドファンディングなどで、ユーザーと力を合わせて日本のコンテンツをもっと多く、早く提供することも非常に大事だと思います。将来的に日本の配信と同じくらいで、最新話の翻訳版も読める作品が増えたらいいなぁと思っています。
――BOOK☆WALKER Globalストアのトーマスさん、ありがとうございました!
グローバルに注目した第2弾インタビューはいかがでしたでしょうか? 日本国内のみならず、海外展開にも力をいれているBOOK☆WALKERさん。次にどんな面白い企画が生み出されるのか、目が離せないですね。
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