ついに中国の知識人たちも不満を表明した
最初に新型コロナウイルスの警告をネット上で行ったにもかかわらず“デマ拡散者”として、その言論を封じ込められた李文亮医師の死を受けて、いくつかの知識人グループは「李文亮が亡くなった2月6日を“国家言論自由日”にせよ」と相次いで声明や公開書簡を発表しました。
例えば北京大学の張千帆教授、清華大学の許章潤教授、独立派の学者の笑蜀ら多くの知識人が連名で、全人代及び常務委員会に対して公開書簡をネット上で公開し「2月6日を国家言論自由日(李文亮日)にすべきだと主張、言論自由がなければ安全はない」と訴えました。
書簡では、
「当局の言論と真相の弾圧により、新型コロナウイルスが猛威を振るい、億万の中国人が最も喜ぶべき伝統的祝日を、隔離の恐怖に陥らされた。全民が事実上の軟禁状態のなか、社会や経済は停滞を迫られた」
「このような悲劇は、李文亮ら8人の医師が1月初めに警察に訓戒されたところから始まる。医師の尊厳は警察の言論の自由に対する暴力の前に、こんなにも卑屈化されてしまった。30年来、自由を引き換えに、中国人民は安全でない公共衛生危機に陥り、人道主義的災難に迫られている。世界人民の中国に対する恐怖は、ウイルスの伝播速度を超え、中国を前代未聞の全世界的孤立に陥れた。これらすべて自由を放棄し、言論を弾圧した代価であり、中国のやり方がまさに泡に沈んでいるところである」
などと、習近平政権のやり方を非難しました。そして2月6日を「国家言論自由日」制定し、
- 中国人民に憲法第35条が保証する言論の自由権利を実施すること。
- 中国人は言論によって、いかなる国家機関、政治組織からの脅威を受けてはならず、公民の結社、通信の自由などの権利も侵害されず、国家機関は即刻、SNSに対する検閲をやめ封鎖を解除すること。
- 武漢と湖北省戸籍の公民に平等な権利を保障し、武漢肺炎患者は適時に打倒に有効な医療救助を受けること。
- 全人代は緊急会議を招集し、公民の言論の自由をいかに即刻に保障するかを討論すること。
などの要求を掲げました。
また、中国人権弁護士団も2月6日を「全民真実を話す日」に制定することを提案しました。その提案書によれば、すでに今回の肺炎に関わる“デマ”を流したとして拘留されている300人以上の市民がいるといいます。
弁護士団は「デマを流すことと、情報を流すことは完全に2種類の違う状況に区別できない。公民は権威機関と違うので、正確な情報を掌握する能力はほとんどなく、また情報は常に変化していくものだからだ」として、事実でない情報を流したとしても罰せられるべきではないと主張。
「言論に対する弾圧こそが感染状況を拡大し、無数の家庭を崩壊させ、人命を奪い、世界的社会悲劇を引き起こしている」と指摘しました。
また2月7日、北京の名門校である清華大学の同窓生たちは「全国同胞に告げる書」を発表し、
- 政治安全を最優先することに断固反対する。これは極端に自分勝手な小団体の目標にすぎない。
- SNSの封鎖に断固反対する。
- 現行のイデオロギー統制モデルに断固反対し、人民を敵とすることに断固反対する。
- 災難を(共産党や国家の団結、士気向上のための)アピール、礼讃に転換することに断固反対する。必ず官僚の不正の責任を追及し体制の責任を追及せねばならない。
- 「逆走路線」に断固反対する。鄧小平の指導幹部終身制廃止は堅持せねばならない。
と5つの要求を習近平政権に突き付けました。
新型コロナウイルス肺炎の蔓延を切っ掛けに、鄧小平路線を逆走させ、個人独裁化を進め言論・イデオロギー統制を強化し、ウイグル弾圧や香港デモを引き起こしてきた習近平政権のやり方に、心ある知識人たちの不満が一気に弾けた感がありました。