『キングオブコント』まさかの2回戦敗退が転機

――本の中に、濱家さんからの電話がきっかけでコンビが結成されたとありましたが、もし連絡がなかったとしたら、山内さんの芸人人生はどうなっていたと思いますか?

山内 ピンでしばらくやってたんちゃうかなと思いますね。それで、なんか大人しそうな人と組んでたんちゃうかな。自分から濱家に「コンビ組もうよ」は言ってなかったと思うので。当たり障りない、言うこと聞きそうなやつと組んでたんだじゃないですかね。

――芸人人生、最大の土壇場は? コンビとしてヤバいかもと思った瞬間ってありましたか?

山内 ヤバいかもは2015年に『キングオブコント』の2回戦で敗退したときですね。ネタもめっちゃ自信あるとかじゃなく、本番前に1回か2回、軽く口頭で合わすぐらいで出たんですよ。それで落ちるのが普通だなぐらいのウケやった。それでも、かまいたちのことは通すかな、と僕は思っていたんです。準決に行く実力があるのはわかってんねんから、あえてここで落とさんくてもええかなと。けど、そこで落ちたときにヤバいと。焦りましたね。やっぱりウケなかったら落としてくるんだなと。

――コントのキャラクターにはモデルがいるんですか? 笛を吹く気持ち悪い男子生徒とかは、学生時代に実在した?

山内 “笛を吹く”に関してはいないです。あれの場合は、そのシチュエーションが浮かんで「そんなことより」っていうのがきっかけのネタなんです。「そんなことより」笛うまいやんっていう。その「そんなことより」が一番、面白くなるシチュエーションてなんだろうと考えて「そんなことより笛うまいやん」にいったんです。

めちゃめちゃいいやつやけど、そんなことより手が青いやんとか、いろんなパターンを決めてたんですけど、そのなかで一番「そんなことより」がハマった形やなというので選んだだけです。

――山内さんは、ネタを書く、増やすといったときに、ひたむきな努力をするタイプですか?

山内 2015年のキングオブコントに落ちたあとは、ネタ作りに関しては単独ライブでやるネタの練習量を増やしたりしました。大会に出る用のネタの練習量をめちゃくちゃ増やしましたね。

それと、大会に出すネタがネタバレにならないように気をつけるようになりました。前に収録していた自信のネタが、大会の直前にオンエアされるという経験をしたので。キングオブコントの直前は、オーディションとかでも一切せず、テレビとか配信とかあるところでは1個も見せずに、来た人しか見れない状態のところでだけ練習するように、ネタバレ防止は徹底してやるように変わりましたね。

▲著書を手に笑顔の山内さん

初の著書の制作秘話から、養成所時代のことまで幅広く語ってくれた山内さん。後編では、YouTube活動やイチオシの若手芸人さんのお話をお聞きしますので、お楽しみに!

»»» 後編へ続く


▲山内さん初の著書「寝苦しい夜の猫」は、扶桑社より好評発売中!
プロフィール
山内 健司(やまうち けんじ)
1981年1月17日、島根県出身。濱家隆一とお笑いコンビ「かまいたち」を結成。ボケ担当。キングオブコント2017優勝、M-1グランプリ2019準優勝などの実績を残す実力派コンビ。初の著書『寝苦しい夜の猫』(扶桑社)が話題を呼んでいる。