配達員専用クエストのギャンブル性

渡辺 働くペースって決まっているんですか?

太田 僕は下北沢近辺をベースとしていますが、注文が入らないときは自宅で待機。舞台の合間に配達することもあります。

渡辺 隙間時間は有効に使いたいですね。自分は原稿を書いているときに通知が来たら配達に行っちゃう。すごい筆が乗っていたら行かないけど、クエストがクリア寸前だったら、原稿を放り出して飛んでいきますね。

太田 ボーナス制度が燃え上がるんですよね~。あと1回運べばミッションクリア、ボーナス達成ってときに「来い来い」って画面を見つめて、通知が来ると「やった~!」って。あの興奮はギャンブルに近いものがあります。

▲渡辺氏はレンタサイクルが愛車

渡辺 ゲーム性も確かにありますね。最高でいくら稼ぎましたか?

太田 とはいえ、あまり高くはないんですよ。1週間で最高は5万円くらいだったかな。月でも20万円くらいでしょうか。芸人の稼ぎよりは全然多いです。

渡辺 自分も本業が暇なときに限界ギリギリの12時間働いて、1週間で8万5000円稼いだことがありました。1日43回運んだこともあります。

太田 自転車でそれはすごい! どうやって稼ぐのが一番効率いいんですかね。

渡辺 やっぱり都心部のランチタイムかなあ。注文数が圧倒的に多いですから。

太田 今ではどの地域も配達が入りますが、昔は集中してましたね。配達員の掲示板では「注文が入らなかったら飯田橋に行け」という格言が生まれたことも。その当時はそのエリアはなぜか注文が多くで、みんなが最後に集まるから「約束の地」と呼ばれていました。

渡辺 コロナ拡大の影響もあって、今は注文も増えたし、配達員も増えましたよね。稼ぎも悪くなりました。昔は時給2000円だったけど今はそんなにいかない。1000円ちょっとかな。

太田 配達員が増えたことでマナーが悪い人も増えましたね。それで悪く思われるのは悲しいです。

渡辺 変な人がいる割合ってのは、どの世界も変わらないと思うんですよ。単純に配達員が増えたから、交通マナーが悪い人が目立つだけのような気もするんですがねぇ。

▲配達員にとって自転車は必須アイテムです

»»» 後編は明日公開予定です。お楽しみに!

※編集部より:対談中は出演者・スタッフともにマスクを着用しています。
プロフィール
太田 隆司(おおた りゅうじ)
1987年8月8日生まれ。宮崎県出身。2010年に相方の有馬徹とお笑いコンビ・いぬを結成。ウーバーイーツが日本上陸して間もない時期から配達を続ける、元祖ウーバーイーツ芸人。特技は体を使った大道芸、フリースタイルラップなど。

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タイトル:アラフォーウーバーイーツ配達員ヘロヘロ日記
著:渡辺雅史
発売:2021年4月26日
定価:1,100円
ウーバーイーツ配達員として働く四十路ライターがつむぐ、悲哀と憂鬱の実録ドキュメント。