Renta!のレビューは読みごたえがあります
――電子書店員としての苦労や悩みも聞かせてもらえますか。
吉田 個人的な悩みなんですけど、新しいマンガが日々出てくるなかで、先ほども申し上げた“トレンドの先回り”をしたい気持ちはあるんですけど、それにはコンテンツの知識もないといけないし、ブームみたいなものも感じとらなきゃいけない。知識のアップデートというか、アンテナを張らなきゃいけない範囲が、コンテンツ、SNS、出版社さんの動きって考えると広くて、置いていかれないようにしなきゃいけないのが、楽しいんですけど、やっぱり大変だなって思うときもありますね。
――全部の新刊を読むのは大変ですよね。
吉田 話題になりそうとか、あと個人的にビビッと来たものを読んでいって、面白いなと思ったら企画にあげてみたりしてますね。
――ビビッとくるのって、表紙とかですか?
吉田 そうですね、表紙とか……。Renta!は、すごくユーザーさんのレビューが熱くて、まだレビューの件数は多くないんだけど、すごく熱のこもったレビューがあったりする作品は面白いんじゃないかなって、それで読んでみたくなりますね。
――わかります。他書店さんだとページの下にありがちなレビューが、Renta!さんだと真ん中くらいにありますよね。レンタルや購入ボタンの前にレビューを経由するから、つい見ちゃいます。
吉田 ありがとうございます。
――買おうか迷ってるときにはレビューを見て決めたりするので、ご意見番みたいな感じでとらえてます。
吉田 このジャンルなら、このユーザーさんがレビューを書けば売れるだろうな、というのは個人的ですけど、あったりしますね。私たちとしても、ユーザーさんのレビューはすごく頼りにしてるので、いろいろ判断の基準にさせてもらったりしてます。
――この記事が出て、そのレビューのご意見番が見てくれたら、もっと力を入れてくれるかもしれないですね。
吉田 そうなったらありがたいですね。
――やっぱりジャンルの中でも、BLが一番熱いですか。
吉田 BLが一番熱いですね! 件数も多いし、文章力を感じるレビューが多いと思います。つい最後まで読んじゃうみたいな、長文であってもスラスラと読めるものがすごく多いです。Renta!は、もともとBLが“売り”のサイトだったので、老舗ならではの熱いBLユーザーみたいな方がいてくれて、そういう方はBLの熟練度も高いので、いわゆる「いにしえの腐女子」は、たくさん読んでるだけあって言語化が上手ですね。
――「いにしえの腐女子」! そのワードめちゃくちゃ気になります。
吉田 私が考えたわけじゃなくて、BL界隈の言葉なんですけど、昔からBLを嗜んでいる人を「いにしえの腐女子」と言うんですけど。例えば「キリ番を踏んだら教えてください」とかBBSとか、昔のネット文化に精通している界隈の腐女子、という感じでしょうか。
――BLが好きな人って、他の人に布教する力が強い印象があるので、その辺りがRenta!さんのレビューに反映されてるのかなと思います。
吉田 面白さを伝えるために、熱を持って書いてもらっている感じはすごくします。
――書店にとってもユーザーさんにとっても親切ですね。ちなみに「いにしえの腐女子」ですか。
吉田 私は“いにしえ”ですね(笑)。
――カッコいい!
吉田 BLは物心ついたときから読んでいたので、まさに「いにしえの腐女子」なんですけど、ノリが近いです(笑)。それこそ、長文で面白かったことをしっかり書いてくれるとか、長期連載をずっと支えてるとか、そういうユーザーさんが多い印象があります。自分と体質が似てると感じる方が多くて、そういう意味でも私が「いにしえの腐女子」なので、仲間が多いなと感じてます。
――じゃあ、ユーザーさんのニーズにも気づきやすいですね。
吉田 そうですね。趣向が一緒なので、気づきやすいかもしれませんね。
――BLフロアの『今週の名台詞』を見て「運営とめちゃめちゃ趣味が合う!」と思ったとのことですが、それがきっかけでRenta!に入社したんですか。
吉田 そうなんです、もともとRenta!に入社する前からヘビーユーザーだったんですよ。特にBLのページの面白さがすごいなって当時から思っていて。なので、運営と趣味が合うって思い始めたのが、Renta!を使うきっかけにもなっていて、そこから募集要項を見て応募しようと思ったので、『今週の名台詞』を見たことが入社のきっかけになりますね。
――今後もBLを嗜む方に、どんどん入社してもらいたいですか?
吉田 ぜひ腐女子採用をしてほしいですね(笑)。もちろんBLもそうなんですけど、他のジャンルをもっと広げていきたいので、それこそ少女マンガ採用とか、TL 採用とかやっていきたいですね。
――いいですね! 筆記試験内容がそのジャンルに精通しないと解けない、みたいな(笑)。先ほどの「いにしえの腐女子」も、知らないと“なに、その言葉!?”ってなりますよね。ジャンルの長が、それぞれ採用問題を作ってみたら面白そうです。
吉田 いいですね(笑)!
――Twitter企画で、パピレスの入社試験みたいにしてもいいですし。
吉田 その案いただきます。めちゃめちゃ面白いと思います(笑)。
――本当ですか! ぜひお願いします。