持ち場は江戸川区と同じ5000ヘクタール!

―― サファリガイドになるために必要な資格や試験を教えてください。

太田 南アフリカ政府が認めたフィールドガイド協会が定める筆記試験と、実技試験に合格する必要があります。それから救急救命の資格や、サファリカーに乗客を乗せるための、日本の第二種運転免許のような運転免許も必須です。また、サファリカーを降りてガイドをする「ウォーキングサファリガイド」になるためには、トレイルガイドの資格とライフル取扱免許が必要です。

―― そうして苦労してなったサファリガイド。今日も取材前に、早朝からサファリを回って来たと聞きました。

太田 動物は涼しい早朝と夕方に活動するから、サファリの仕事は朝が早いです。狩りをしようっていうタイミングだったりとか、縄張りをパトロールしたりとか……動物の動きがあるときのほうが、サファリのお客さんとしても満足度が高いです。まぁ真っ昼間でも動物と遭遇するときもありますが、だいたい寝てるだけなんです(笑)。

ちなみに今、南アフリカは朝の10時。午前のサファリがちょうど終わったところです。今日はあんまり運がなくて、動物を見つけられず帰ってきました。

▲ボランティア団体でのお仕事(写真提供:Jack Borowiak)

―― ずいぶん長時間働くのですね。クルーガー国立公園は、日本の四国ぐらいの大きさだと聞きましたが、どれくらいが太田さんの活動範囲なのですか?

太田 私がガイドとして行き来できるのは、だいたい5000ヘクタールですね。以前、取材していただいたときに教えてもらったんですが、東京の江戸川区と同じくらいの面積だそうです。

―― とてつもない広さですね! そこで動物を探すのは簡単なことではないのでは?

太田 自然相手なので、うまくいかないときもありますし、逆に本当に何がいつ起きるかわからないのが、サファリの醍醐味でもあります。全然見つけられないなぁと思ってたら、急にライオンの群れに出くわしたり、予測しづらいのがサファリの面白さでもでもあります。また、仲間内で情報は共有しているので、より効果的に動物を探すことは可能になっています。

―― 今、太田さんが活動されているエリアでは、どんな動物をよく見かけるんですか?

▲ビッグファイブに数えられるゾウとサイ(写真:本人提供)

太田 ビッグファイブのひとつ、ライオンにはここ2週間くらいはほぼ毎日出会っていますね。ヒョウもいるにはいるんですが、隠れるのが上手で。車の音が聞こえるとすぐ隠れちゃったりとかもして、なかなか出会いにくいですね。

―― ビッグファイブって言葉、初めて聞きました。

太田 南アフリカに棲息するライオン・ヒョウ・ゾウ・サイ・バッファローは「ビッグファイブ」と呼ばれているんです。南アフリカの紙幣のデザインにも採用されています。シマウマとかキリンとかインパラ、いわゆる草食動物系はエリアごとにたくさんいる感じです。インパラは今、サバンナで一番生息数が多い動物なんですよ。