東京新聞も手に負えない望月記者の妄想

では実際に談合はあったのか。そしてその談合の下で望月記者が不当な差別を受けたのか。1月27日午前から1月29日午後の会見動画を見てみよう(1月28日午後の会見は副長官会見なので省く)。

この間に望月記者の姿を確認できたのは、1月27日午後、28日午前、29日午前と午後の会見の4回だ。いずれも菅長官から指名されず質問できなかったが、これが意図的なものなのか。

27日と28日は午前9時から衆議院予算委員会がそれぞれ7時間13分、6時間30分開かれ、28日夜には2019年度補正予算案が本会議で可決。それが参議院に送られたため、29日は午前9時から予算委員会が開かれていた。

よって官房長官会見も、27日午前は9分で午後は6分20秒、28日午前は7分30秒、29日午前は10分足らずで午後は9分30秒。いずれも短時間だが、官房長官が国会を抜けるわけだから仕方ない。実際にニコニコ動画の七尾氏は、27日午前と29日午前の会見に出席していたが指名されていない。七尾氏はニコニコ動画のユーザーからの質問を代読しており、官房長官が一般国民の質問に直接答えるという貴重な機会を作っている。そのような七尾氏でさえ、質問が制限されていた。

こうした事実を省みず、やみくもに反権力側に付こうとする人たちは、秋山記者の記事を弾劾する。同じ新聞記者ならば、記者会見の仕組みや様々な事情を理解しているはずなのに、そうしたところでは思考力は完全に停止してしまうらしい。

望月記者のコバンザメのような朝日新聞の鮫島浩記者は、2月8日に「毎日新聞を含む内閣記者会は望月記者を露骨に指名しない官房長官に抗議せずに黙認する形で『望月外し』に長らく加担していた」などとTwitterに書き込んだが、そもそもきちんと官房長官会見を確認していたら、こんなことは言えはしないだろう。というのも秋山記者自身、東京高検の黒川弘務検事長の勤務を半年延長する閣議決定について「(黒川検事長は)長官の信頼が厚いことだが、長官の推薦があったのか」と斬り込むなど、菅長官にズバズバ質問する。秋山記者の質問を聞いていれば、官邸とのなれ合いなど思いも付かないはずだ。

さらに問題は2月8日に以下のように呟いた東京新聞労組のTwitterアカウントだ。

一番大事なのは
「望月記者のツイート内容の

 事実誤認の有無」ではなく
「官邸の記者会見のあり方」であり
「内閣記者会が政権に対峙する姿勢」

 がどうなのか、です。

事実なくして対峙する姿勢を問うというのは、まさしく思考なくしてやみくもに政権批判を繰り返すことに他ならない。そこからは正義は生まれるはずもなく、報道に携わる者にとって自爆することに等しい。東京新聞労組は新聞労連の傘下にあるが、その意向を反映しているのだろうか。

もし東京新聞が秋山記者の記事になんら異議があるのなら、東京新聞のウェブなり紙面なりで望月記者に反論させるだろうが、現在のところその様子は見えない。本当のところは東京新聞も望月記者が手に負えない状態ではないのだろうか。

実際に望月記者のクレームが「妄想」だったことが、2月10日午前の会見で明らかになる。この日は衆議院予算委員会で、北村誠吾地方創生担当相の答弁能力をめぐって開催が1時間近く遅れたため、官房長官会見に時間的な余裕ができ、望月記者は質問の機会を2度与えられた。菅長官から2度目の質問を許可された時、望月記者は一瞬たじろいでいる。

根拠なくむやみに報道の危機を煽るのは国家の危機に繋がるが、報道の危機が作為的に作られることは、もうそれは内乱という他はない。