「お笑い」と「執筆」という二刀流に挑戦中なのが、お笑い芸人の福田健悟。「お笑い」では、ABEMAの『2分59秒』に出演したことが大きな反響となり、「執筆」としては、ニュースクランチで連載している小説『45』が、たくさんの人から感想が届いているなど、好きなことを仕事にしている。お笑い芸人として、また執筆家として、現在の活動や将来の夢について聞いてみた。

好きなことをしていたら幸せなことでお腹いっぱい

――芸人として活動する福田さんのもうひとつの好きなこと、文章を書くことについて聞かせてください。『45』の連載って、すごくボリュームがあるじゃないですか。書いてるときって楽しいですか? それとも産みの苦しみという感じですか?

福田 書くことは大好きなんですけど、連載をやってるなかでむちゃくちゃしんどい時期があって。なんか変にテングになってたのか、「期待を裏切っちゃ駄目だ」とか、わけわかんないふうに思っちゃったときがあったんです(笑)。

ここの表現、最後の「です」は「だ」に変えたほうがいい、みたいに、もう細かいことが気になりすぎちゃって。書き換えて、書き換えてってやってたときはしんどかったですけど、面白いって自分では思ってるんで、「いいものを書けた!」っていう満足感がついてきてくれますね。初めての経験なんで、本当にありがたいですし、楽しんでやらせてもらってます。

――そもそも、小説を書こうって思ったキッカケはなんだったんですか?

福田 昔から勉強は全般的に苦手でしたけど、国語だけはちょっと得意で。鑑別所に入ったときに、おばあちゃんと手紙のやりとりをしてたんですけど、おばあちゃんが僕の手紙をすごい涙しながら読んだっていう話をあとから聞いて、文章を書くのはわりかし得意なんだなって、ちょっと自信になりました。

あと、バイト先に本が大好きな人がいて、「福田さん、若いときはどんな感じだったんですか?」っていうふうに聞かれたんですね。そこでヤンチャ時代も含めて話したら、「それ、面白いから本を書いてくれませんか」っていう流れになって。別に誰に見せるわけでもない、彼に見せるだけだからと思ってずっと書いてて、ちょうど書き終わったタイミングで吉本から出版オーディションの話が来たんです。その縁で『45』の連載が始まりました。

――連載が始まって、「これだけアクセスいっぱい来てますよ!」って伝えたときに、ぱーって表情が明るくなったのが印象的でした。

福田 めちゃくちゃうれしかったですね。最近はそんなことの連続で、ABEMAさんが決まったのもそのひとつですし。ただ、やっぱり1個1個のでかいこともうれしいんですけど、僕の連載を読んで「本を読むようになった」っていう意見もめちゃくちゃうれしくて。いろんな人がそう言ってくれるんで、もうお腹いっぱいって感じです。

お客さんがみんな友達のようなコンビニで働けている

▲お客さんがみんな友達のようなコンビニで働けている

――『引き寄せの法則』みたいな感じですね。ちなみに、『45』の今後の展開なんですが、けっこうクライマックスに近づきつつあるんですか?

福田 そうです。もうあと10話ぐらいでクライマックスの予定です。構想もだいたい出来上がっていて、自分でもちょっと予期せぬ感じの終わり方で、現時点ではすごく自信を持ってて。ここまで読んでくださった人にも、天と地のどっちかってなったら、「絶対に天!」と満足してもらえる手ごたえが、自分の中でなんとなくあります。

――楽しみにしています。今回、好きなことを仕事にするということで、「お笑い」と「執筆」について聞きましたが、福田さんはもうひとつ、「コンビニ」という好きなお仕事をお持ちですよね。何年くらい勤めてるんですか?

福田 もう7年ですね。たしかに好きじゃないと続けられないと思います。ぜひ皆さんにも、僕が働いているコンビニに来てほしいなって思うんですけど、八百屋みたいな感じなんですよ。ウィーンって自動ドアが開いたら、「いらっしゃいませーっ!」ていう元気な感じ。

僕の小説にも店長の話が出てくるんですけど、ありとあらゆるお客さんに「お疲れっす!」って言うし、「ちょっと抜けてくるわ」ってお客さんとコーヒーを飲みに行ったりして。お客さんも帰るときは「じゃあね、またね!」って言って、もうみんなが友達のような店で。そこで働かさせてもらったんで、僕もすっかりそういうのが身に付きましたね。