ロシアのミサイルが枯渇する日は近い!?

桜林 アメリカの国防省関係者によると、ロシア空軍の24時間の出撃数が300弱で安定しているということです。それから、どうも精密誘導弾が不足しているという話もあるようですね。

小野田(空) 国防総省は日によって違うけれども、200から300出撃程度だという話をしていますね。実は3月10日の時点で、ロシア空軍は200出撃ぐらいなので、だいたいコンスタントな数字です。

ただ、ロシア国内から離着陸しているし、ウクライナ領空内に侵入しないスタンドオフ攻撃の数も多く、非常に慎重な攻撃の態勢を取っていると言えます。

それから、精密誘導ミサイルについては、公式のコメントは出ていませんが、もしかすると撃ち尽くしつつある可能性があります。

アメリカ国防総省の会見では、5月2日にはロシアはすでに2125発以上撃っていると発表しました。彼らは発射数をカウントしていましたが、2日以後は公表していません。記者に理由を聞かれても、発射のカウントにあまり意味がなくなったからだと、その理由をきちんと答えない(笑)。

発表しないのは、枯渇にかなり近いとみている可能性があるからかもしれません。2125発という数が、在庫として多いのか少ないのかは判断が難しいと思います。

ただ、オデッサやキエフに散発的にミサイル攻撃がなされたという報道があります。あれはロシアの領空内からTu-95やTu-160という、いわゆる軍管区に所属しない戦略爆撃部隊の航空機を使って攻撃していると思われます。

▲エンゲリス空軍基地から離陸するTu-95MS 出典:Marina Lystseva / Wikimedia Commons

それらの長距離戦略爆撃機は、かなりの数の巡航ミサイルを搭載できます。つまり、軍管区が活動している作戦とは別次元の作戦が、参謀本部から指示されている。それを戦略爆撃のつもりでやっているのか、あるいはウクライナにある輸送拠点や工場といったものを戦略目標にしているのかは不明ですが、ドネツク・ルガンスクの前線への近接航空支援と同時に、そういった戦略目標に対する攻撃は継続しているということです。

だから、この種の攻撃が止まった時点でおそらく本当にミサイルが枯渇していることになるのだと思います。ただアメリカ政府もイギリス政府も、そろそろ枯渇しそうだという情報を出しています。

▲MAKS 2007航空ショーにて離陸するTu-160 出典:Sergey Krivchikov / Wikimedia Commons

伊藤(海) ウクライナの中央部にある鉄道も5か所ぐらいが空襲を受けているのですが、もうすぐ復旧できるという話ですからね。

桜林 だんだんロシアのミサイルがなくなっていることが、ウクライナ側にもわかってきたということですね。

小野田(空) じつはロシアの精密誘導ミサイルは、目標に正確に当たっていないといいます。だから「非精密誘導ミサイル」ですね(笑)。

ロシアはすでに極東に対する計画を作っている!?

桜林 それから5月6日、ロシアの国防省は、日本海の海域で太平洋艦隊が対潜水艦システム「オトベト」のミサイル発射演習を行ったと発表しましたが、伊藤さん、この動きについてはどうでしょうか?

伊藤(海) ああ、小型のコルベット艦ですからね(笑)。いずれにせよ、ウクライナへの侵攻は、ロシアにとって「戦争」ではなく「特別軍事作戦」にすぎず、極東の海軍は何もやってないので、通常通り極東でもプレゼンスを示せということなんでしょう。日本や西側に対して「北方領土や北海道は大丈夫なのか」と牽制しているのです。

桜林 私みたいに「今こそ北方領土を取り戻すチャンスだ」と言い出す人間が増えたら困るから、牽制しておけということかもしれないですね(笑)。

伊藤(海) たぶん、もう極東に対する計画も作ってあるんだと思います。あらためて極東もやってやるぞ、という。うまくいけば、中国とまた協同訓練をやって、力を見せつけようとするのでしょう。

桜林 今後もこうしたロシアの動きはあるかもしれないということですね。

伊藤(海) あると思います。

桜林 極東の動きにも私たちは注視していく必要がありますね。


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