狙撃事件を「民主主義に対する挑戦」と言い張るバカ
銃撃事件発生直後から「民主主義に対する挑戦」と言い張る人々が現れた。自民党幹事長の茂木敏充は狙撃直後の会見で「民主主義の根幹たる選挙中のテロ行為は、民主主義に対する挑戦だ。断固強く抗議します」と記者団に語っている。岸田文雄も同様の発言を繰り返した。
日本維新の会共同代表の馬場伸幸は「暴力による言論の封殺や民主主義に対する挑戦は絶対に許されるものではない」とツイート。
しかし、すでに述べたように山上の銃撃は私怨によるものであり、テロではない。民主主義への挑戦でも、暴力による言論封殺が目的でもない。
「民主主義への挑戦」というフレーズは耳目に入りやすいし、使いやすいのかもしれないが、山上の発言からは、どこをどう探しても出てこない。山上本人に聞いても、何の話をしているのかわからないのではないか。
一方、民主主義に対する挑戦を続けたのは、政府と自民党である。
国会を通さずに国民の税金を拠出した安倍の「国葬」を行い、統一教会と関連のある議員を処分せずに、逆に安倍を「国賊」と指摘した村上誠一郎議員を処分した。
国賊に国賊と言ったら処分になるのか?
アメリカ人にアメリカ人と言ったら処分か。
ハンバーグをハンバーグと言ったら処分か。
国会を軽視し、議会主義を冒涜している連中が、声高に「民主主義への挑戦だ!」と騒いでいるのだから盗人猛々しいというしかない。
「スナイパー小屋」のデマを信じるバカ
今回もネトウヨの類がSNSで嘘やデマを垂れ流し続けたが、「スナイパー小屋」に関するデマは、もっとも低レベルかつ悪質だった。
解説するのもばかばかしいが、銃撃事件当日のニュース映像に映りこんでいた商業ビルの屋上に、白いテント小屋が映っており、これが三時間後になくなっていたことから、「小屋はプロのスナイパーが狙撃のために利用した」「安倍元総理は闇の勢力によって暗殺された」などといったデマが拡散された。陰謀論未満の子供のいたずらに近いが、驚くべきことにこれを真に受けた人々が登場した。
日本テレビ系の情報番組が、ビルの管理会社に取材をして確認したところ、小屋はビルの排煙ダクトの清掃業者が設置したもので、作業が終わったので撤去しただけだった。
ツイッター上には《大スクープ 拡散して奈良県警、警視庁が突き詰めましょう! 隠蔽出来ないくらい拡散しましょう!》などと妄想を膨らませる人たちが現れたが、このデマを拡散させたのが関西の某お笑いタレントである。
ネット上の与太や陰謀論を真に受け、客観事実に基づきものごとを考える力がない人が社会の第一線で大きな声を出している。面白かったのは2020年10月に掲載されたネット記事。「ツイッターで発信するうえでは、どんなことに気をつけていますか?」という質問に対し、某タレントは次のように答えている。
《計算に基づいた数字的な根拠を出してツイートすること。文系だと感情論でツイートする方も多いけど、ツイッターは理系のやり方でやった方がいいと思います。そしてフェイクに騙されない。これが一番大事やね》
素晴らしいとしか言いようがない。