準々決勝以降は負けない試合をできるかどうか

これまでの4戦を振り返ると、投手・野手ともにほぼ全員を満遍なく起用できているのも大きい。

守護神として期待されていた栗林良吏が、腰の張りのため離脱となったのは痛いが、投手陣はほぼ盤石な体制になっている。(追加召集でオリックス・バファローズの山﨑颯一郎投手がメンバー入り)

今大会の日本投手陣の平均球速は、152.2km/hを記録しており、ベネズエラやプエルトリコと比較しても、引けを取らないレベルだ。

また、先発陣も残り3試合を考えると、1人が余るぐらいのレベルである。

1次ラウンドの内容や調子を考えると、準々決勝は大谷、準決勝と決勝は佐々木や山本を起用したほうがいいだろう。

韓国戦に先発したダルビッシュは、他の先発投手の調子の兼ね合いを見ると、準々決勝あたりで第二先発での登板もありえるだろう。

その他の投手を見ても、東京五輪でフル回転の活躍をみせた伊藤大海をはじめとして、宇田川優希、髙橋宏斗、大勢あたりをうまく起用していくのもポイントになっていく。

また、これまで併用されている捕手については、準々決勝以降の負けられない試合となると、各投手をうまくリードしており、打撃の調子もいい中村を中心に運用していったほうが得策だ。

甲斐拓也がマスクを被った試合は、配球の割合が高かったストレートを狙い打ちされていた。

大谷や佐々木レベルのストレートならば、1次ラウンドであれば長打はほとんどなかったが、準々決勝以降は相手のレベルも上がるため、非常に危険である。

野手陣をみていくと、4番を任されている村上宗隆にヒットが出始めて、復調の兆しを見せ始めている。

ラーズ・ヌートバーから始まり、近藤や大谷が並ぶ1〜3番や、吉田が機能しているため、村上の調子が上がっていけば、さらに打線に厚みはできるだろう。

現在の村上の起用法に賛否はあるが、ここまできたら復活を願うのみだ。

また、大会前に不調だった山田哲人も、中国戦とチェコ戦でタイムリーを放ち、国際大会での勝負強さを見せている。

山田に関しては、どの選手よりも国際大会の経験があることから、二塁手として固定していきたいところ。

山田を二塁手に固定することにより、一塁手はチームトップの2本塁打を記録している牧秀悟を抜擢したい。

中野拓夢と中村の8、9番も出塁できることから、4戦目時点で全体的に切れ目がなくなっていることが大きい。

懸念材料としては、ディフェンス面である。

源田壮亮が怪我をしたことにより、センターラインを含めたディフェンス力は低下している。

実際のところ、チェコ戦では守備の乱れから先制点を許している。これは準々決勝以降はなくしていきたい失点だ。

これまで対戦した相手は、投手力やビハインドをひっくり返せる打線の力技でなんとかなった部分はあったが、打線は水物であることや、準々決勝以降は徐々に平均球速を含めた相手投手力も上がるため、ロースコアゲームの対策も頭に入れておきたい。そうなると、ディフェンス面のミスは致命的な問題になりかねない。

前回大会の準決勝・アメリカ戦も、失策にはならなかったものの、松田宣浩へのサードゴロでファンブルをしなければ、日本は勝てていた可能性もあった。

逆に東京五輪では失策数1を記録。これは出場国で最も少ない数字。固いディフェンス力を活かしたのもあり、金メダルに輝いた。

短期決戦では、いかにミスをしない野球をできるかが重要である。

そのため、準々決勝以降は負ける確率を減らす戦い方ができるか、そこがポイントになっていくだろう。

いよいよ明日は準々決勝。相手はイタリア。これまでの勢いそのままに侍ジャパンに勝利を掴んでほしい。


プロフィール
ゴジキ(@godziki_55)
自身の連載である「ゴジキの巨人軍解体新書」「データで読む高校野球 2022」をはじめとした「REAL SPORTS」「THE DIGEST(Slugger)」 「本がすき。」「文春野球」などで、巨人軍や国際大会、高校野球の内容を中心にコラムを執筆している。今回、新たに「WANI BOOKS NewsCrunch」でコラムを執筆。Twitter:@godziki_55