大谷翔平は史上最高のバリュアブルプレイヤーへ

さて、最後に今大会の主役について。

打者としては23打数で打率 .435・OPS 1.345・1本塁打・8打点、投手としては2勝0敗1セーブ・9.2回で防御率1.86・WHIP0.72・11奪三振。

そして、前述の打球速度が今大会最速の118.7mph(二塁打、チェコ戦)、投手としては球速が今大会最速の102.0mph、と打者・投手の双方としてトップに輝きました。

文句なしの成績で、当然ながら大会のMVPに選出されました。が、彼の貢献はフィールド上の成績以上だと思いました。

WBCの醍醐味の一つとして、各選手の所属に関係なく自国のチームを応援できることですが、今回は所属国関係なく、ほとんどのファンが本気で大谷選手を応援していたように見受けられました。

アメリカのファンでもトラウタニ対決を熱望し、ベンチとブルペンを行き来する大谷選手を見ては期待を爆発させ、対決が実現した際は大喜び、大谷選手および日本が対決を制した際には、落胆どころか大盛り上がり。

世界中のファンは「自国の優勝」ではなく「面白い野球」を求め、「面白い」=「大谷選手の活躍」を望み、それを提供できたのが、まさしく今回のWBCだったのではないでしょうか。

今回のWBCは、大谷選手なしでは成り立たなかったと言っても過言ではありません。

今や日本の誇り=大谷翔平ではなく、世界の野球ファンの誇り=大谷翔平ですね。

日ハム時代の日本一、メジャーでのMVP獲得、WBC優勝と順調に目標を達成してきた大谷選手ですが、残すは悲願のワールドシリーズ優勝。

今季オフにフリーエージェント権を取得見込みですが、果たしてエンゼルスに残留をして優勝を目指すのか、別のチームで再出発をするのか。今年も大谷翔平の野球シーズンとなるでしょう。

▲WBCで証明された大谷翔平と村上宗隆のバリュアブルな現在地 写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

プロフィール
KZilla(ケジラ)
ニューヨーク・ヤンキース、およびMLBの魅力をTwitter、note、ラジオなどで発信し続ける注目の野球アナリスト。ニューヨーク育ちの英語力を活かした情報収集力と分析力は、コアなファンからも高い評価を得ている。先日、袴田彩会さんから直筆サイン入りの写真集『Another』と、激励のメッセージを受け取り幸せの絶頂期との噂。Twitter:@TokYorkYankees、note:KZilla|note