カレーを探求して発信していく人になりたい

――インドへの訪問はいつされたんですか?

いよちゃん 2019年の3月、大学生になって初めての春休みでインドに行きました。でも、そのときはツアーだったので、あまり生のインドを感じることはできなかったんですが、それでもインド人の生命力には驚かされました。

バスの窓を開けた瞬間に、物売りがぶわーーっとやって来たなんて体験も初めて。人間として生きている感じがすごくしたし、その生命力の強さに衝撃を受けました。こんなにも強いパワーを持った人々がいるのかと。今でもインドに行くときは、少し怖いというか緊張感がありますね。

昨年は秋に1か月くらい滞在して、いろんな州をまわりながら料理教室に通ったり、食べ歩きしたりと、いろいろな体験をしてきました。色にしろ、香りにしろ、見るものすべての刺激がめちゃくちゃ強くて、そんな強烈なインドをもっと知りたくて夢中です。

▲タミルThe Bangalaの料理教室

――2021年には自身を「カレー探検家」と名乗り始めたわけですが、どんな活動をしていますか?

いよちゃん 探検家とは“探求して発信をする人”と考えているので、カレー探検家もカレーを探求して、それを発信していく人だと考えています。「カレーの文化を伝えることにまつわることならなんでも」というのが私の仕事のモットーです。

カレーの概念って、すごく面白いんですよ。日本にあるカレーはイギリスから伝わったものだけど、そこから日本ならではの「カレー」という言葉に置き換わって、独自の進化を遂げた。そのカレーを見ながら、インドのカレーを見る。いろんな文化の層が重なり合ってできているカレーを分解していくと、いろんな要素がつまっているので、そこにまつわることを探求し伝えていきたいんです。

つまり、カレーはインドだけに限らないわけです。根本となる日本の文化を知ることも、カレー探検家の仕事だと思っています。カレーにまつわる文化だけではなく、身近な料理だからこそ意外と見過ごしていることをなど、さまざまな角度から伝えることが私の使命なのかなと思っています。

――今後、もっと掘り下げたいことは?

いよちゃん カレーの分布図的な部分です。インドからどうやって周辺の国などに広がっていったのか。食文化はグラデーションになっていることが多く、国ごとに分断されているわけではないので、それがどのように変化していくのか、とても興味があります。

そのひとつが「ナン」。ナンの発祥はウズベキスタンのあたりで、そこでできた窯が西洋で石窯になり、東洋でタンドール窯となった。だから、ナンの伝播ルートも調べようと思っていますし、ナンだけではなく、インドのパンにもすごく興味があります。

▲ひよこ豆の蒸しパン「カマンドクラ」

――インドのパンもぜひ発信してほしいです。とても興味があります。

いよちゃん これだけ世の中でパンがブームになっているのに、そのほとんどが西洋的なパンばかりなんです。パン好きの人がナンを目当てに食べに行く話は聞かないですよね(笑)? ナンもこれまた奥が深くて。ふっくらさせるのがいいのか、クリスピーに焼き上げるのがいいのか、職人の技もすごく必要なんです。

だけど、そういう視点でナンを見る人は少数派で、カレーに付いてくるもの……という存在だけで口にしてしまっている人が多い気がしていて。そこに一石を投じたいです。

大好きなカレーを仕事にしたことで毎日が楽しい!

――今後、やってみたいことはありますか?

いよちゃん まずはインドに長期滞在して、インドを一周したいです。各地で生のインドを肌で感じ、そこで起きたことを記す活動や伝える活動を続けたいと思っています。そして、インドについて詳しい研究もしつつ、日本のカレー文化の発展を私ができることで助長したいという思いはすごくあります。

それと同時に「好きなことや趣味を職業にしてもいいんだよ」ということも、もっと発信していきながら、ほかの人が探検しやすくなる地盤を作りたいです。

――自分の「好き」であるカレーを仕事にしてよかったと思いますか?

いよちゃん もちろんです! なにより毎日がすごく楽しいです。以前、働かせてもらっていたインド料理店「アーンドラ・ダイニング」の社長さんはインド人なんですが、すごく努力家。日本の大学でIT系の研究をしていて、それから「何かインドと日本をつなげるような仕事がしたい」と考えてレストランを開いた。

しかも、「南インドの料理を日本人にもっと食べてもらいたい」と、アーンドラ・プラデーシュ州のお料理に特化したお店を出されたんです。その社長さんが言っていた言葉で、今も大事にしている言葉があるんです。「仕事をするときに大事なのは、いかに“寄り道”をするかということ」とおっしゃって。

「目的に向かって突き進むのはいいけど、最短距離で進むのではなく、いろんな人に会い、いろんなものを見て寄り道することで、3倍も4倍も吸収できるし、視野も広がって多くのことが見える。人とつながりを持つことは人間にとってすごく大事なこと」だと。

本当にその通りだなと思うので、この活動を狭めることなく、さまざまなことをやっていきたいですし、いつまでも考え続けることはやめず、気持ちを引き締めていきたいと思います。

▲チェンナイで人気のティファン屋さんで店員さんと一緒に

プロフィール
 

カレー探検家・いよちゃん

2000年生まれのZ世代。早稲田大学文化構想学部卒業。在学中から「早稲田インドカレーサークルchai」に所属し、インド料理店などの食べ歩きや自身が作り出したカレーの販売カレーなど、カレーに関する様々な活動を展開。カレーの奥深さに魅了され、2021年にカレー探検家と称して活動をスタート。YoutubeチャンネルやSNSでの発信のほか、カレーイベントのMCをやメニュー開発など活動内容は多岐にわたる。Twitter:@iyo877curry、Instagram:@iyo877curry、YouTube:カレー探検家いよちゃんねる