旦那っちのお母さまと緊張の初対面

――結婚前、ネパールのご家族に会いに行ったんですよね。

グルン 旦那っちがネパールのグルン族だということは、付き合ってから知ったんですよ。それまで何も知らなくて。旦那っちがお母さまに「この子と付き合っているよ」とテレビ電話で伝えたら、お母さまは「私の息子に何をしてくれてんだ!」くらいの勢いで……嫌われてしまったんです。

――え?

グルン グルン族はグルン族同士で結婚する文化や、旦那っちの兄弟がまだ結婚してない状況もあって。お母さまも、いきなり見知らぬ外国人を紹介されて、パニックになっちゃたって感じで……。本当にいろいろとあったのですが、旦那っちがしびれを切らして「1回ネパールに遊びに来ないか」って言ってくれたんです。

――その状況でネパールに行くのは、かなり緊張したんじゃないですか。

グルン その前に、もう私が疲れてしまって……じつは「別れたい」と言ってしまったことがあるんです。そしたら、旦那っちが「お母さんにも紹介したいし、ネパールの景色も見せたいし、僕が育ったところを見てほしい。もし許しが出たらそのまま(交際を)続行しよう。ダメだったら、このみの好きにしていいよ」と言ってくれたんです。

▲顔が似てくるほど仲の良い二人の最初の出会いは…[Youtube動画より]

――実際に行ってみてどうでしたか。

グルン 自分を飾りたくなかったし、ありのままの私を知ってほしかったので、いつもの私で行こうと思いました。それでダメなら仕方がない! みたいな心持ちで(笑)。

――(笑)。反応はどうでしたか?

グルン お父さんは私に会いたかったみたいで、すごくニコニコしていました。でも、近所の人も含め、やっぱり最初はバリアがすごかったですね。家の中をいろいろと見せてもらっているときに、みんなが見ている前で旦那っちがお母さまを説得し始めたんです。何を言っているか私にはわからなかったので、とりあえず私にできることは笑顔を絶やさないことだと思って笑っていました(笑)。

それで一旦、トイレに行こうとしたら、何十人も集まっているから、玄関に靴がすごく散乱していて。私の靴までも遠かったし、気になったので1足ずつ並べていたんですよ。そしたら、その姿をお母さまが見ていたみたいで、感銘を受けたって(笑)。

▲お義兄さん夫婦とこのみさん夫婦の結婚写真撮影[グルンこのみさん提供]

――ええー!

グルン 私がトイレ行って帰ってきたら「座れ座れ」と言われたんです。そのときに“あー、もうダメなんだ”と思っていたら、お母さまが「結婚しなさい」って。皆さんがすごく喜んでいたので、私も一緒に喜びました(笑)。

――まさかの勝因は靴!(笑)。でも、気遣いある行動は、どこでも大事ってことですね。

グルン そうですよね。母親からの教えが生きてよかったなと思います(笑)。

――このみさんの優しい行動に感動したんですね。生活習慣の違いで苦労されたことやびっくりされたことはありますか?

グルン ありがたいことに、結婚してから幸せなことしかないんです。これまでの苦労話を話したいんですけど、本当にないんですよね。結婚してから、私は家族愛を知りました。旦那っちはすごく家族思いで、それに影響された感じです。結婚してから、自分の家族のことも、これまでよりも愛するようになりました。

26歳までは好きなことをしていいよ

――ネパールの方と結婚すると伝えたとき、このみさんのご家族の反応はどうでしたか。

グルン 結婚することは母親しか知らなくて。絶対に反対されるだろうなと思ったので、籍を入れる準備をしてから家族に伝えたんですが、まさかのまったく反対されずに承諾を得たので、そのまま手続きを進める感じになりました(笑)。

――少し拍子抜けされた感じですね(笑)。海外生活ということもあり、ご両親は心配されたのではないでしょうか。

グルン うちの家族は、みんな独立型だったので心配はしていないと私自身は思ってましたが、YouTubeで母親に当時のことを聞いた際、本当は何もわからないから心配していたということを知りました。当時、私が適応障害になったり、家族もどう接していいかわからなかったと思うし、家族とも距離があり、話もできていなかったので、気持ちを知ることができてうれしかったです。

※後にお母さまの当時の心境は動画で語られています

〇【国際結婚】親子の壮絶な戦い。グルン族に嫁いだ娘と母親のお話

――結婚したのはタレント活動を始めたときでしたが、活動はどうされたんですか。

グルン 旦那っちには「26歳までは、このみの好きなようにしていいよ」と言われたんです。結婚したときは私がまだ20歳だったので、いろんな経験をさせないといけないと思ったらしくて。その言葉で本格的にタレント活動をすることを決めて、地元の芸能事務所に所属しました。

――旦那さまが年上だからこそ、26歳までは見守ってくれたのでしょうか。

グルン そうですね。いつも見守ってくれて、何かあったら助けてくれます。落ち込んでいたら「大丈夫だよ」って励ましてくれるし、後押しもしてくれる。そんなステキな人です。