歴代記録を塗り替えて夏連覇も成し遂げた駒大苫小牧
2006年に田中将大を擁して、早稲田実業との死闘を戦い抜いた駒大苫小牧も挙げたい。夏2連覇を成し遂げ、翌年も決勝まで進出している。
初優勝の年は、涌井秀章を擁した横浜や春夏連覇を狙った済美などに勝利している。2連覇の年も、優勝候補筆頭とされていた大阪桐蔭に勝利している。
この3年間の駒大苫小牧は、田中将大以外はプロ入りできなかったものの、高校野球の勝ち方がどこよりも再現性の高かったチームだっただろう。
2連覇したときのチームに一貫して言えることは、ディフェンス力の高さだ。
大会を通しての失策数は、2004年は1つ、2005年は2つを記録。雪国で鍛えられた守備力が発揮されたと言っていいだろう。
ただ、やはり特筆すべきなのは2004年の打力だ。チーム打率.448を記録し、歴代記録を塗り替えた打線は、4割以上が実に7人もいた。
自慢の打線は、全試合で二桁安打を記録しており、この大会では日大三や横浜、東海大甲府、済美と立て続けに強豪校に打ち勝った夏だった。
また、チーム防御率が5.60と夏の甲子園の優勝校のなかでは、決して良いとは言えない成績にも関わらず、打力でカバーしたチームだった。
この年から伝説が始まったと言ってもいいだろう。
選手個人のタレント性はなかったものの、攻撃力から守備力までお手本のようなチームだった。
2010年代の幕開けで春夏とも圧倒的な強さを見せた興南
2010年代の幕開けでいきなり春夏連覇を飾ったのが、沖縄の興南だ。
この年のセンバツで興南は、決勝で日大三との延長戦を制して初の春の甲子園を制覇。
大会を通して見ても、エースの島袋洋奨と強力打線、要所で見られる試合運びのうまさが際立った。
島袋は、46イニングを49奪三振、防御率1.17と驚異的な記録を残した。
この春の甲子園では、我如古が大会通算最多安打となる13と最多連続打数安打8を記録しており、2023年の春時点で破られていない記録である。
夏の甲子園でも、スタメンの9人中7人が3割を超える強力打線。4割を超える打者も5人おり、チーム打率は夏の甲子園歴代でもTOP10に入る記録となった。
さらに、エースの島袋は夏の甲子園でも51イニングを投げて、53奪三振、防御率1.94を記録した。
また、試合の状況や相手によってスタイルを変えられるゲームメイク力は、どの高校よりも抜けていたのは間違いない。
2010年の興南は、島袋+強打のイメージが強かったなかで、試合運びのうまさや細かいプレーの精密さを含め、投打ともに理想的なチームだった。