“チャレンジしたい”という気持ちでキャプテン就任
すがや:山之内選手はJ1の柏レイソルへ加入が内定しています。大学3年生の夏ごろに決まったのはかなり早いタイミングだと思うのですが、まずは練習参加に行った形ですか?
山之内:そうです。大学3年生の春に練習に呼んでいただけたのがきっかけです。そこで1週間ほど参加しました。
すがや:そこから、何回か練習参加して内定を勝ち取ったということですか?
山之内:練習参加したのは、その1回だけですね。
すがや:えっ! 練習参加1回で決まったの!? すごすぎる……! その1週間の練習参加は、自身で手応えはあったんですか?
山之内:少しだけですけど、“(プロ相手でも)やれるぞ!”という小さな手応えはありました。
すがや:最上級生の4年生になり、チームのキャプテンに就任しました。どういった経緯で大役を務めることになったんですか?
山之内:立候補というと大げさかもしれないのですが……、自分たちの代は誰かが引っ張るというより、全員で盛り上げて引っ張っていく形に自然となっていたんです。その中で誰がキャプテンをするって話し合った時に、“チャレンジしたい”ということを伝えました。
すがや:それは立派な立候補だよ! 理想のキャプテン像みたいなものはあるんですか?
山之内:それもあんまりなくて(笑)。ただ、チーム全体を見て、チームとしても、個人的にも気になることがあれば伝えるようにしています。
すがや:ちょっと時を戻して、昨年末のインカレ(全日本大学サッカー選手権大会)では優勝を果たしました。おめでとうございます! 山之内選手も主力として出場していましたが、どういったお気持ちでしたか?
山之内:ありがとうございます! めちゃくちゃ嬉しかったですね。ただ、先輩たちがすごかったというのが一番大きかったです。左サイドバックで試合に出ていましたが、隣の左センターバックは稲村隼翔選手(現:セルティックFC)、ひとつ前の左サイドハーフは新井悠太選手(現:東京ヴェルディ)とすごい人たちに囲まれていました。このお二人とはポジションが近いのもあって、本当にたくさんのことを学ばせてもらいました。正直、チームの中でも別格のお二人だったので。
『考える力』を一人ひとりが伸ばしていける環境
すがや:いまお名前が出たお二人や山之内選手もそうですが、近年、東洋大学サッカー部からプロサッカー選手になる人が増えています。そして、チームとしても強豪に肩を並べる存在になりつつあります。この要因はどう考えていますか?
山之内:まずは、監督の指導というのが一番大きいところです。その中で、自分たち選手主体でやらせてくださるので、『考える力』を一人ひとりが伸ばしていけるのが、強くなっている要因のひとつかなと思います。
すがや:『考える力』は現代サッカーでは必須要素にもなっていますね。この連載はもともと「大学サッカーは実力と知名度・認知度に大きな差がある」というところから始まったのですが、実際に試合に出ている選手としてどう感じますか?
山之内:たしかにプロチームの試合と比べると、どうしても観客の数などは差があるなぁとは思いますね。でも、おっしゃってくださるように、見に来てもらえたら楽しんでもらえるだけの実力はどこの大学もあるので、“見に行きたい!”と思えるプレーを見せられるよう、チームとしても、個人としてももっとレベルアップしたいです。
すがや:近年、大学サッカーではホームゲーム制度も始まりましたが、東洋大学サッカー部はどのような取り組みをしていますか?
山之内:東洋大学には女子サッカー部もあるので、連携しながら見に来てくださった人たちにどうやったら楽しんでもらえるか一緒に試行錯誤しています。子どもたち向けのサッカー教室を開催したりして、まずは朝霞市の人たちに知ってもらって、一緒に盛り上げてくださればという思いです。
すがや:地域から盛り上げていく素晴らしい取り組みですね。最後に今後の目標をチーム、個人と両方教えてください!
山之内:チームは関東一部リーグ優勝、総理大臣杯優勝、インカレ2連覇の3冠を目標に掲げて試合、練習をしています。目標達成のためにチームで助け合って、切磋琢磨して強くなっていきたいです。卓さんのもと、自分たちがピッチで考えて、相手の動きをみて、臨機応変に戦えるサッカーをしていきたいなと思います。
個人としては、まずはケガを治して試合に出て、チームを勝たせたいです。(※取材した時期は怪我により戦線を離脱。その後、復帰を果たし、天皇杯2回戦では、内定先の柏レイソルと対戦。ゴールを決める活躍を見せる)
〇【ハイライト】第105回天皇杯 柏レイソル vs.東洋大学|2回戦
すがや:大学3年生でプロ内定が決まっていると、どうしても周りも期待の眼差しで見ていると思います。注目されているなというのは感じますか?
山之内:正直、感じますし、意識してしまう部分もあります。でも、これを乗り越えてこそだと思いますし、これから先、メンタルの差で試合が決まってしまうこともあると思うので、あまり意識しすぎず、でも、期待には応えられるようなプレーを見せていきたいです!

