阿南さんの意外な過去 

阿南:いつぐらいから東京にいらっしゃるんですか?

高野:高校を卒業してからですね。

阿南:あ、じゃあ一緒だ。 僕も卒業して、一度横浜で働いてたんですよ。大学落ちてから色々あって働こうと思って、横浜で新聞配達の仕事をしていました。武蔵美に決まる前に、実はちょっとだけ俳優になろうとしていて、オーディションを受けたりもしていました。

高野:そうだったんですか!

阿南:論語を読んでるようなやつなんで、全然でしたが(笑)。

――思いもよらぬお話がどんどんでてきて面白いです(笑)。では、最後に、阿南さんが作品を描いている時、どんな気持ちで、どんなことを考えながら描いているのかをお伺いしたいのですが。

阿南:作品を作ってる時は苦しいですね。産みの苦しみってやつ。そのひとつひとつに判断しなきゃいけないことがたくさんあって。構図はこれがベストなのかとか。色は本当にこれでベストなのかとか、材料、その素材とか、色々悩むところが多くて。

その悩みにベストな答えにたどり着いているかっていうのも、なかなか上手くいかない時もあるんですよ。その積み重ねがあって、ようやく完成に近いところまでいくんですけど、そこまでは苦しいですね。なんというか、ゾーンに入ると、楽しいとかいう感覚もなく打ち込める時はあります。

――集中しているということですか?

阿南:そうですね、集中してる時。

高野:その感覚はどんな感じなんですか?

阿南:気づいたら入るって感じですね。特に展示の前とか。余裕がある時は、割といろんなことを調べたり、いろいろ視野が広い状態だと気が散るので、ゾーンに入るっていう感覚にはならないんですが、視野が狭い時こそ集中できるので。余裕ない時ほど集中できるかもしれないです。

高野:なるほど。

阿南:ただ、苦しんだ分、展示の時とかは、やっぱ達成感を感じますね。展示は楽しいですね。

高野:面白いですね。

阿南:僕は、いろんな人物を描いているんですが、基本的には出会った人を描いてて、もしよかったら高野さんを描きたいなと。

高野:え! 逆に僕でいいんですか!?

阿南:ぜひ描かせていただけたら嬉しいです。嬉しいです。

高野:えー! ありがとうございます。

阿南:完成した時には、是非またアトリエに遊びに来てください。

高野:わぁ、是非! ありがとうございます!

次回の『お訪ねアトリエ』は、2025年11月7日(金)更新予定です。お楽しみに!!

プロフィール
高野洸(たかのあきら)
2009年、NHK教育の人気番組「天才てれびくんMAX」の全国オーディションで選ばれた5人でDream5を結成。妖怪ウォッチのエンディング「ようかい体操第一」が話題となり、2014年にはレコード大賞・紅白歌合戦に出演。2016年のグループ活動終了後は、ミュージカル「ROCK MUSICAL BLEACH」主演や「刀剣乱舞」(膝丸役)、「ヒプノシスマイク」(山田一郎役)、舞台「キングダム」(信役)、舞台「WAR BRIDE―アメリカと日本の架け橋 桂子・ハーン―」などに出演し、俳優として活躍。音楽活動では2019年に「LOVE STORY」でソロデビュー。2024年、2025年には、<高野洸 5th Anniversary Live Tour 「mile」~2nd mile~>を開催し、LINE CUBE SHIBUYAにてファイナルを迎えるなど音楽面でも精力的に活動している。
X(旧Twitter):@AKIRAT_official
Instagram:@akira_takano_official
プロフィール
阿南さざれ(あなんさざれ)
1989年、福岡県生まれ。 武蔵野美術⼤学造形学部⼯芸⼯業デザイン学科卒業。諸行無常とは、この世の万物は常に変化しており、一瞬とてその姿や本質を一定に保つことはできないという意味の仏教用語である。2019年から始まったコロナ禍を経て、私たちの生活や価値観はさらに大きく変化した。そのような世界規模の出来事でも、または日常の小さな積み重なりにも、あらゆる物事は影響を受けて変わっていくのである。作品においては流動変化するさまざまなものを描き、その尊さや儚さを表現する。
Instagram:@sazale_anan