自分の「位置」と「実力」を悟ることで本気になった

ここまでのソロインタビューでも、それぞれ「どうしてアイドルになろうと思ったのか?」ということを共通の質問としてぶつけてきた。

愛来は「知り合いの紹介で」、小島はなは「アイドルになったら塾に行かなくてもよくなると思って」、そして唯一、市川優月だけが「保育園のころからアイドルになりたかったから」と答えてくれたが、鈴木萌花は本人の意志とは関係なく、「気がついたら、もう芸能界にいた」という新しいパターン。見事に四者四様、バラバラの理由で集まったのがアメフラっシというグループであり、見事なまでに個性豊かなのも、少なからず、この部分に由来しているんじゃないか、と思う。

「小さいころは自分ではなんにも考えずに、とりあえず決められたオーディションに行く、みたいな感じでしたね。将来の夢も特にアイドルになりたいってわけでもなく『お母さんみたいになりたい』だったような気がします。

小3のときに事務所を移って、そこで初めてアイドルを始めるんですよ。それで将来の夢は『歌って踊れるモデルとアイドル』って言うようになるんですけど、まだ本気でアイドルに向き合ってはいなかったですね。やっぱり、真剣に『アイドルになりたい!』と思うようになったのはスターダストに入ってからになります。

けっこう、お母さんがいろんなオーディションに応募してくれていて、私、それまでにスターダストを3回受けて、3回とも落ちているんですよね(苦笑)。4回目でやっと受かったのが、3B juniorのオーディションだったんです」

4度目の正直。これも偶然というか、巡り合わせというか……もし、それまでのオーディションで合格していたら、鈴木萌花は3B juniorの一員になることもなかっただろうし、当然、アメフラっシのメンバーにもなっていなかった。

「ただ、そのころはまだ考え方が甘かったんですよね。スターダストは大きな事務所で、ももクロさんたちが所属していることも知っていたので、なんとなく『この事務所に入ったら、メジャーデビューへの道につながっているんだろうな』って。事務所に入って、レッスンを受けていたら、自然とそうなっていくと思っていたんですよ。

でも、やっていくうちにそうじゃないんだって。ほかの子たちがどんどんメジャーデビューしていくのに(3B juniorからは『ロッカジャポニカ』と『はちみつロケット』の2組がメジャーデビューを果たした)、私は全然……。

でも、そんな自分の立ち位置こそが『現実』で、それが私の『実力』なんですよね。そういう自分と向き合って、一生懸命、努力しなくちゃ道は開けないんだって。そのことに気づいてからだと思います。本気で『アイドルになりたい!』って思って、真剣に向き合うようになったのは」