メスを入れるべきは大衆課税である消費税
新保 続いて、消費税について教えてください。いま、コロナ禍を機として、消費税についてはさまざまな議論がありますよね。8%に戻す、5%にしようじゃないか、あるいはもう消費税をいったんなくしてしまおう、など。この消費税率に関して、大石さんはどのようにお考えでしょうか。
大石 政府は「リーマンショック級の経済事変がなければ2%の増税をする」と言いましたが、今まさに、リーマンショック以上の経済ショックが起こっているわけです。下手したら、「世界恐慌の再来か」と言われるような事態ですから、当然のことながら2%上げる状況にはないと考えるべきですね。
新保 そうですね。
大石 ですから、私は消費税率は変えるべきだと思うんです。なんといっても、国の究極の大衆課税ですし、貧困層ほど深く重い負担をしている税金ですからね。では8%に下げるのか、いったん0にしてしまうかといった議論もありますが、とりあえず手を付けるべきだと思っています。現にドイツは全体としての消費税は19%ですが、すでに食料品やその他の税率は10%以下に下げましたよね。すでに他国が下げているんですから、それを日本ができないはずがないんです。
新保 あと、ぜひお話いただきたいのが、「日本が強制できない国だ」ということについてなんです。今後、コロナが収束してこれまで通りの世界が戻ってくるということにはならないですよね。そんな中、日本が今後、新しい生活様式を取り入れていく中で、ある程度、国が強制できるようにしていくべきか、それともこのまま自粛だけで頑張っていけると思われるか、その辺りもお伺いできればと思います。
大石 私は、国が強制していくような方向に進むべきではないと思っています。なぜなら、厳しい罰則を入れないと守らない、あるいは守らない可能性があると考えなければならない国と、そうでもない国に分けた場合、日本は後者だからです。日本は素晴らしい国なんですよ。
新保 うれしい言葉ですね!
大石 実際にそうなんですよ。ところが、強制を可能にするために憲法を改正する、あるいは学校を9月始まりにするといったような議論が行われましたよね。今のような、まさに湯が煮えたぎっているような状態、つまり冷静な判断ができないときに大きな話を決定してしまわないほうがいい……それが私の意見です。つまり、コロナショックに引っ掛けて大きな何かを変えるべきではないと思っています。9月入学に関しては、直ちに導入を結論付けるべきではないという判断が先日出ましたけれどもね。