夫が家事を手伝う欧米の実態とは?

今では、昔のように工場のラインを何時間か稼働させて仕事をする、というやり方ではないので、残業なしの人も多くなりました。最初から残業代の予算を組んでいませんので「定時の間に仕事を終わらせろ、終わらせられないのはお前が無能だからだ」とはっきり言われます。このような状況なので男性も早く家に帰ってきます。

夫の稼ぎが少ないので、奥さんもフルタイムで男性並みに働かなければなりません。奥さんの経済的な力が強いので、男性も家事をやらざるを得ないのです。それでも家事の多くは奥さんの仕事が多いので、男性は芝刈りとかゴミ捨てなどをやっています。

▲男性の家事参加率は収入と仕事状況にも関わっている イメージ:PIXTA

育児や家事負担の不平等という声は、決して日本に限ったことではない。とはいえ、日本と違って特に欧米の場合は合理的思考ですから、家事に精神性や家族への忠誠心などといったことは期待せず、あくまでも「やらなければならない作業」として処理をします。その結果、低賃金の業者に外注することが少なくありません。

ただし外注できる家庭は、夫婦である程度の稼ぎがある場合に限ります。どこの国々も国民の収入中間値は日本とさほど変わらないので、外注できる家はそんなに多くない。

低賃金の移民で家政婦のような仕事は、大都市であれば時給2,000円ほどかかるし、地方都市とか物価が安めのところであっても時給1,000円くらいです。

物価が高いので家政婦を手軽に頼むわけにもいきません。そこで、家事をできるだけ機械化し手抜きする。たとえば、料理はしないで冷凍食品を電子レンジでチンするだけ、掃除は日本のようにこまめにしない。これが夫が家事を手伝う欧米の実態です。

日本で夫が家事をあまりやらないし、できないのは文化的な側面もあります。また、家計が夫ひとりの収入に頼っているケースが少なくないからでしょう。日本人男性は労働時間が長いため、家事をする体力も気力もないということにも原因があります。

とはいえ、日本でも技術革新の進展などで労働スキルの格差が広がっていくと、それについていけない夫は稼げなくなる。すると、帰宅時間が早くなるので、家事をする時間が増えるというか、家事をやらざるを得なくなるでしょう。

つまり、仕事が以前よりも減れば家事をする夫が増えるわけで、それが良いのかどうかはよくわかりません。

▲家事をする時間が増えるということは… イメージ:primagefactory / PIXTA