一夜明ければスーパースター
キサラはメディアの仕事が入った場合、メディア優先で代理を立てるシステム。ブレイクするにつれ、3人の出演機会も減ってきた。
そうなると、ショーパブの客入りは寂しくなるものの、いざ出演できるとなるや、客席は満員御礼。「続いてはベース漫談でお馴染み、はなわオンステージ!」というナレーションで、客席が「オー!」と湧き上がる。
明転して、はなわさんが立っていると「キャーーーー!!!」「ワーーーー!!!」と歓声が沸く。
ちょっと前までは「え? 誰?」みたいな顔をされていたはなわさんが、わずか数ヶ月で「キャーーーー!!」だ。ネタもドッカンドッカンウケる。売れてしまえば、どんなネタでもウケることを知った。そして、佐賀県のネタが始まると爆笑につぐ爆笑。観客は、みんな満足そうな顔をしている。
前健さんのあややも負けず劣らず爆笑をさらっている。槇原敬之さんのモノマネを披露すると、「こんなのもできるんだ」と感心してさらにファンを増やしていた。
ホリさんだって、出てきただけで歓声が上がるし、レパートリーの多さとクオリティーの高さは当時からだったから、観客は涙を流さんばかりに爆笑して拍手を送っていた。
売れてない時代から知っている人がスーパースターになる。その瞬間を目撃した衝撃は相当なものだった。同時に武者震いした。こうなりたくて俺はサラリーマン辞めたんだ。3人に対する嫉妬なんてひとつもなかった。絶対にああなってやる! 彼らの活躍が俺に勇気を与えてくれた。
だが、人生とは思い通りにならないもの。無情にも時は流れ、一度も歓声を浴びないまま、気がつけば、俺はアラフィフと呼ばれる年齢になっていた。
(構成:キンマサタカ)
『TAIGA晩成 ~史上初! 売れてない芸人自伝~』は、次回7/22(金)更新予定です。お楽しみに!!
プロフィール
TAIGA(たいが)
1975年生まれ。神奈川県出身。2005年『細かすぎて伝わらないモノマネ選手権』(フジテレビ)、2009年『爆笑レッドカーペット』(フジテレビ)、2009年の『あらびき団』(TBS)、2014年の『R-1』決勝進出でプチブレイク。下積み時代が続く中、2020年の『オードリーさん、ぜひ会ってほしい人がいるんです。』(中京テレビ)、2021年の『アメトーーク!』(テレビ朝日)出演で再ブレイクの予感がする46歳。