もっと社会貢献活動を報道してほしい
――田島さんの本を読むと、日本社会に対する違和感を言葉の節々から感じます。
田島 そうですね。例えばですが、若い頃から自然や動物を守ろうという、意識が高い人に対して「真面目すぎる」「面倒くさい」と感じてしまう、ネガティブな風潮があると思います。積極的に取り組むことが「かっこいい」とは思えない、日本独特の雰囲気があるように感じています。
フランスやアメリカ、オーストラリアなど海外を見ると、俳優の方たちが社会貢献活動に積極的に参加し、当然のことだっていう認識がされています。日本では他人事のように捉えている人が多いですよね。インフルエンサーなど影響力のある人が、もっと呼びかけてくれればいいのになって。
――有名人のニュースは、ゴシップが多く、社会貢献のような活動はあまり取り上げられないですし。
田島 海洋プラスチックをゼロにするっていう目標がありますよね。本来は2050年までだったのですが、4月に開催された札幌G7サミットの環境相会合で、10年前倒しされて2040年になったんですよ。その変更が示すのは、海洋プラスチック問題の深刻さです。それにも関わらず、ニュースが大きく取り上げないのは問題だと思ってます。
――スーパーの袋が有料化されたり、ストローが紙になったり、進展はありますが遅いですよね。
田島 まだまだ足りないですね。コロナの影響でキャンプが流行っていますが、川で洗剤を使って食器を洗うことが当たり前のように起きていて……。環境破壊だし、個人の楽しみだけが優先されているように感じます。そういうことも、キャンプを楽しむタレントさんがメッセージとして発信してほしいな、と思っています。
――私は猫が好きで飼っているんですが、捨て猫や殺処分の問題など動物にも同じことが言えるかもしれません。ペットショップで買う人と保護猫を引き取る人では、その意識に大きな差があると感じます。
田島 同じですね。メディアは「猫がかわいい」という表面的なメッセージを発信することは多いですが、捨て猫が存在してしまう背景についても伝えるべきだと思います。猫のような愛玩動物への関心は高まっていますが、その関心を海や自然にも向けてほしいですね。
――田島さんのように現場を知る方がメッセージを発信することは、とても大事だと思います。
田島 私たちは、海や山などの自然をレジャーとして楽しませてもらう一方で、その自然が永遠に続くものではないことを忘れてはいけないと思います。海洋プラスチックなどの課題について、これからも積極的に発言していきたいです。
――今後の目標について教えてください。
田島 小学生の甥や姪がいるのですが、もっと多くのことを知ってほしいなと思っています。博物館に来る子どもたちとも交流しますが、彼ら彼女らの未来のため、大人になったときに豊かな自然と生物が残っている世界を守りたいです。また私の希望としては、若い世代である学生たちにも同じような気持ちを持ってもらい、自然を守る意識を受け継いでいってほしいと思っています。
――現在のお仕事とはまったく関係ない趣味とかはありますか?
田島 プライベートについては、趣味と呼べるようなものはないですね。ただひとつだけ、食べ物に対してはこだわりがあると思います。自分が美味しいと思うもの、自分が好きなものがはっきりしています。だから、レストランは自分で選びたいタイプです。
――今まで一番美味しかったと思う食べ物は?
田島 若い頃、ベルギーで食べたムール貝です。バケツ一杯に入ったムール貝のバター蒸しはとても美味しく、その衝撃は今でも忘れられません。パンをスープにつけて食べるのもいいですし、アヒージョのような感じで楽しむこともできます。上品な食べ方ではないかもしれないけど、とても美味しかったです(笑)。
〇田島氏も関わっている 特別展「海ー生命のみなもとー」 ※2023年7月15日(土)〜10月9日(月・祝)