何も決まっていない状況でもビールかけの下見

2019年リーグ優勝時のビールかけの様子(左から栗山巧、中村剛也)。一瞬で終わってしまうイベントのため、事前に入念なロケハンが行われる ©SEIBU Lions

シーズン中のちょっとイレギュラーな仕事としては、「ビールかけ」の中継があります。大事な記念すべきイベントで、やり直しがききません。始まってしまうと十数分ほどで、あっという間に終わってしまいます。その間、各放送局ともに最高の瞬間を逃さないように懸命になりますから、思わぬミスも起きかねません。準備がとても大切なのです。

ポイントは、どの球場で優勝が決まるかはまったく決まっていないということ。

リーグ優勝であれば各球団の本拠地6球場、どこで決まるかわかりません。それぞれの場合のビールかけ会場とビールかけ後の各テレビ・ラジオ局の取材場所を決めて、順次下見とリハーサルをしないといけません。その準備は8月下旬から始めています。各放送局の担当者に来ていただいて、中継車はどこに置いて、カメラはどこに置いて……と打ち合わせを進めていきます。

さらに、日本シリーズで優勝することも想定して、その時点でクライマックスシリーズ進出の可能性があるセ・リーグのすべての球団の本拠地について、同様の準備をしておきます。8月の段階で優勝の可能性がある球団は、必ずやっている仕事です。

もちろん空振りになってしまうこともあるわけですが、2018年、2019年は無事に「リハーサル」が現実となってくれました。

さて、次回は野球中継映像の制作現場の様子を紹介しようと思います。

『球団職員の世界』は次回4/3(金)更新予定です、お楽しみに。