3月下旬に韓国・ソウルで行われるドジャースの開幕シリーズのチケット価格が発表され、最も高い1階テーブル席はおよそ7万7千円と報じられたが、韓国で本日発売されると即完売したとの速報が流れた。さて、米国の著名データサイト「Fangraphs」は、2024年シーズンの大谷翔平選手の成績予想を発表した。ロサンゼルス・ドジャースの一員となった今年の大谷選手は、この予想を超えることができるのかを検証してみよう。 

打者・大谷翔平を強力に援護するプロテクション効果

打率 .273 / 出塁率 .377 / 長打率 .549 / OPS .926
151試合出場で38ホームラン、110得点、102打点、19盗塁
wRC+ 145(得点創出がリーグ平均より+45%)、WAR 4.2

こちらは米国の著名データサイト「Fangraphs」が発表した、2024年シーズンにおける大谷翔平選手の成績予想です。手術の影響により投手としては全休となるものの、打者としてはエリート級の成績を残すことが見込まれる数字となりました。

しかし、この成績予想には過小評価な印象を受けます。参考までに、大谷選手の二刀流全盛期と言える、2021〜23年の年間平均成績を見てみましょう。

打率 .277 / 出塁率 .379 / 長打率 .585 / OPS .964
149試合で41ホームラン、98得点、97打点、19盗塁
wRC+ 156 *、WAR 5.2

※便宜上、各年の試合数に応じた按分単純平均

OPSベースでは長打力が過去3年対比で.036も小さく見積もられ、特に23年シーズンでは長打力が脅威の.654(.105差)を叩き出している点を踏まえると、かなり控えめに算出されているように見えます。wRC+では11%、WARでも1勝分も低く出ているので、全体的に保守的な予想と言えるでしょう。

もちろん2度目の肘手術の影響、新しいリーグへの適応(旧所属のエンゼルスはアメリカン・リーグ、新所属のドジャーズはナショナル・リーグ)、どんな偉大な選手にも訪れる不調など、成績が下振れする可能性はあるかもしれません。ただ、それ以上にロサンゼルス・ドジャースに移籍したことによる「強力打線によるプロテクション効果、打撃機会の増加」がより考慮されるべきだと考えます。

※後続の打者への警戒感が強いと勝負を避けられず、打てる球をしっかりと投げてくる。逆にプロテクション効果が薄い場合は勝負を避けられ、明らかなボール球を多投されたり、申告敬遠が増える。

「大谷翔平物語:ドジャース編」の開幕が待ちきれない

直近2023年シーズンではブランドン・ドルーリー選手(OPS .803)、ハンター・レンフロー選手(同.737)、アンソニー・レンドン選手(同.678)の前の打順に打つことが多く、周りからのプロテクション効果は薄かったと言えるでしょう。現役最強の野手の一人であるマイク・トラウト選手も、大谷選手の前の打順で打っていたものの、82試合出場に留まり、打撃成績も近年対比で劣ってしまったため(OPS .857)、相乗効果は限られていたのではないでしょうか。

それに対して、ドジャーズではフレディ・フリーマン選手(昨季OPS .976)、ムーキー・ベッツ選手(同.987)、マックス・マンシー選手(同.808)、ウィル・スミス選手(同.797)といった屈指の強打者が揃った強打線に大谷選手も名を連ねることとなり、打撃機会はかなり増えると期待できそうです。

実際「Fangraphs」の予想は、アルゴリズムで過去成績を元に機械的に生み出されているため、プロテクション効果などは考慮されていません。もちろん「Fangraphs」もそれを前提に成績予想を公開しているので、決してその数字を批判したり、細かく指摘する意図はまったくありません。

そのうえで2024年シーズンの打撃成績は以下のように予想します。

155試合出場 / 打率.280 / 出塁率.400 / 長打率.700 / OPS1.100

昨季ナショナル・リーグホームラン王であるマット・オルソン選手の記録である54本を上回る55本を記録し、昨年に続き2年連続かつ両リーグのホームラン王を達成。なお、長打率.700超えは2004年のバリー・ボンズ以来となります。

このようなとんでもない成績を残して3度目のMVP受賞を個人的には期待しているのですが、夢すぎる数字と思われますか? いえいえ、不可能を可能にしてきた大谷翔平選手がアルゴリズム予想を打ち砕き、「打者専念」「ドジャーズ強打線のプロテクション効果」により大ブーストを魅せてくれることに期待しましょう。『大谷翔平物語:ドジャース編』の開幕が待ちきれません。