批判されることは新しさの証明

 

高野:世の中の好きなアイデアってありますか?

辻尾:うわぁ、なんだろう…。色々ありますけど、絞るとなると難しいですね(笑)。今ぱっと出るのはフリック入力ですかね。

――日本人の方が開発されたんですよね。

辻尾:そうなんです。実は、その方が知り合いで、このグラスの特許を取ってくれた人が、フリック入力の発明者の方なんですよ。

高野:へぇ、特許を取ってるんですね。

辻尾:そうなんです、特許を取っていて。その人もフリック入力を発明した時、最初は全然誰にも相手にされなかったみたいなんです。それでも、その後、特許を取って、フリック入力を権利化した後に、Appleからフリック入力搭載のスマホが発売されて、それが権利侵害になるので、権利をいくつかの大企業を対象にオークションにかけたそうなんです。それで特許を売却して、人生100回分の富を得るっていう。

高野:えー! 

――発想一つで人生が変わりますね。

 

辻尾:そうですね。でも大事なのは、そのフリック入力ですら、最初は笑われていたってことだと思うんですよ。やっぱり新しいことをすると、それがのちのちスタンダードになるような発明でも、最初は笑われるっていうのは往々にしてあると思っていて。だから、批判されているものが悪いものだとは限らなくて、ひょっとしたら、すごい革新性を持っているがゆえに、現代に馴染まなかったっていうものもあると思うんです。

高野:確かに。

辻尾:批判されているから悪いと、決めつけない心持ちでいたいと思いますよね。傘や車も、最初は、“なにそれ?”って、笑われていましたからね。

――面白いですね。そう思うと、自分の発想が人から批判されても、気にしなくていいって前向きになれますね。

辻尾:はい、逆に考えたら、批判されることが新しさの証明でもありますよね。

高野:そうですね。

辻尾:僕は何かの焼き直しのような作品を作って評価されるよりは、批判されたとしても新しいものを作る方が好きですね。

次回の『お訪ねアトリエ』は、2025年12月5日(金)更新予定です。お楽しみに!!


 
 
プロフィール
高野洸(たかの あきら)
2009年、NHK教育の人気番組「天才てれびくんMAX」の全国オーディションで選ばれた5人でDream5を結成。妖怪ウォッチのエンディング「ようかい体操第一」が話題となり、2014年にはレコード大賞・紅白歌合戦に出演。2016年のグループ活動終了後は、ミュージカル「ROCK MUSICAL BLEACH」主演や「刀剣乱舞」(膝丸役)、「ヒプノシスマイク」(山田一郎役)、舞台「キングダム」(信役)、舞台「WAR BRIDE―アメリカと日本の架け橋 桂子・ハーン―」などに出演し、俳優として活躍。音楽活動では2019年に「LOVE STORY」でソロデビュー。2024年、2025年には、<高野洸 5th Anniversary Live Tour 「mile」~2nd mile~>を開催し、LINE CUBE SHIBUYAにてファイナルを迎えるなど音楽面でも精力的に活動している。ドラマ『地獄は善意で出来ている』『推しが上司になりまして フルスロットル』に出演中。
X(旧Twitter):@AKIRAT_official
Instagram:@akira_takano_official
プロフィール
辻尾一平(つじお いっぺい)
1992年、大阪生まれ。2016年、成安造形大学グラフィックデザインコースを卒業後、トラフ 建築設計事務所・TAKAIYAMA inc.を経て2019年独立、2022年TOAL inc.設立。ロゴデザインやプロダクトデザインなど、自由な発想で制作している。
公式サイト:https://toal.co.jp
X(旧Twitter):@keltoto
Instagram:@tsujio_ippei