批判されることは新しさの証明
高野:世の中の好きなアイデアってありますか?
辻尾:うわぁ、なんだろう…。色々ありますけど、絞るとなると難しいですね(笑)。今ぱっと出るのはフリック入力ですかね。
――日本人の方が開発されたんですよね。
辻尾:そうなんです。実は、その方が知り合いで、このグラスの特許を取ってくれた人が、フリック入力の発明者の方なんですよ。
高野:へぇ、特許を取ってるんですね。
辻尾:そうなんです、特許を取っていて。その人もフリック入力を発明した時、最初は全然誰にも相手にされなかったみたいなんです。それでも、その後、特許を取って、フリック入力を権利化した後に、Appleからフリック入力搭載のスマホが発売されて、それが権利侵害になるので、権利をいくつかの大企業を対象にオークションにかけたそうなんです。それで特許を売却して、人生100回分の富を得るっていう。
高野:えー!
――発想一つで人生が変わりますね。
辻尾:そうですね。でも大事なのは、そのフリック入力ですら、最初は笑われていたってことだと思うんですよ。やっぱり新しいことをすると、それがのちのちスタンダードになるような発明でも、最初は笑われるっていうのは往々にしてあると思っていて。だから、批判されているものが悪いものだとは限らなくて、ひょっとしたら、すごい革新性を持っているがゆえに、現代に馴染まなかったっていうものもあると思うんです。
高野:確かに。
辻尾:批判されているから悪いと、決めつけない心持ちでいたいと思いますよね。傘や車も、最初は、“なにそれ?”って、笑われていましたからね。
――面白いですね。そう思うと、自分の発想が人から批判されても、気にしなくていいって前向きになれますね。
辻尾:はい、逆に考えたら、批判されることが新しさの証明でもありますよね。
高野:そうですね。
辻尾:僕は何かの焼き直しのような作品を作って評価されるよりは、批判されたとしても新しいものを作る方が好きですね。
次回の『お訪ねアトリエ』は、2025年12月5日(金)更新予定です。お楽しみに!!

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高野洸