社長になり、服という概念が変わる

しかし、社長になり、愛すべき社員ができてからというもの、ファッションに対する価値観が少しずつ変わった。センス系に見られるのもハードルが上がるだけで得がないし、なにより社員に恥をかかせたくないと思った。社長の見た目は会社を表すと言っても過言じゃない。社長がダサければ、会社もダサいと思われる。会社は僕だけのものじゃない。

ありがたいことに、弊社の社員はみんなオシャレだ。桜井さんなんてラジオで「どこで服を買ってますか?」というアイドルみたいなメールをもらっていた。なんて羨ましいんだ。

そこで僕は、社員にアドバイスをもらいながら「社長服」を決めていくことにした。

たどり着いたブランド「claudio pandiani」

最初は社員の迷惑にならないよう、無個性な“置きにいったファッション”で固めようと思っていた。しかし社員からは、

「それはそれでエンタメ会社の社長としてどうなのか」

という、ごもっともな意見が出た。確かに、社長たるもの“自分のイメージにリンクした服”を着るべきだ。現時点で例えが「コロッケさんといえばクロムハーツ」しか浮かばないのが悔しい。

そこで条件をまとめた。

・ハイブランドは緊張するからナシ

・メジャーブランドもキャラが立たないからナシ

・シワになりやすい服はどうせまともに手入れできないからナシ

・食べ物をすぐこぼすので、汚れが目立たない素材・色

この四か条が、まさかの全社員一致で決まった。なめられたものだ。この条件でデパートを歩き回った結果、たどり着いたのがフレンチブルドッグのロゴでお馴染み「claudio pandiani」だった。

スポーツブランドなので楽だし、誰ともかぶらない。そしてある日、弊社制作の某ラジオ番組にゲスト出演していた山本舞香さんから、

「その服、いいですね!」

と言われた。日本一オシャレな人と言ってもいい山本舞香さんに、だ。飛び上がるほど嬉しかった。理由を聞くと、

「ロゴの犬が飼い犬に似てるから」

だった。僕の着こなしは一切関係なかった。でもいい。山本舞香さんに褒められた事実は残る。このMY FIRST STORYは孫の代まで語り継ぎたい。