アンドレ・ザ・小学生
時は2000年代初期。インターネットが普及し始め、スマホではなく“ケータイ”だった頃、身長が180cmを超えながらスポーツが嫌いで、難しい地名を知ることが楽しみな漢字オタクの小学生がいました。あだ名は「アンドレ」。これは、そんな少年が東北の風景の中でプロレスを通じて経験し、人生を学んだひと夏の物語です――。
あの夏から秋が過ぎ、冬が訪れ――プロレスラー名鑑にあったもの
「強くなって、いつか東北プロレスに帰ってこい」
「楢葉のおじいちゃんって若い頃、プロレスラーだったのよ」
「タスケ社長のはからいだ。一度だけ思い出として選手バスに乗せてやるってさ」
「まだ粗削りなままのおまえとやってみたいと思ったんだよ」
「そして死ぬほど苦しいのに、思ったんだ。『もっとプロレスを続けたい』って」
「『マスクド・アンドレ』がいいんじゃないの?」
「俺はおまえのかませ犬なんかにはならないからな!!」
「そこにリングがあれば、どんな場所でも見せることができる…それがプロレス」
「次に記者さんが取材へ来る来週の仙台でおまえの試合を組む」
「アンドレっていうリングネームになって嬉しいでしょ?」
「ぼくは初めて人間山脈さんが闘う姿を見た…こ、これは、デカすぎる!!」
「おまえは東北プロレスのアンドレ・ザ・ジャイアントになるんだ」
「青コーナー、191cm、100kg…アンンドレーッ!!」
「今日、日向の代わりにおまえをデビューさせる」
「プロレスは、ひとことで語れるような浅いもんじゃないんだよ」
「タスケはいつか月でプロレスをしたいって、真顔で話すんだぜ」
「セコンドについている時は何があっても絶対に笑うな!」
「まさか試合中、車にひかれるとは予想していなかった」
「プロレスファンじゃないのにプロレスラーになりたいのか?」
「プロレスラーにとって重要なのはいかに客を喜ばせるか」
「アンドウレイジでアンドレかあ。よくわかってんじゃん」
「運命さんみたいになれたらカッコいいだろうなあ」
「キミさあ、大きいねえ! プロレスラーになればいいのに」
「レイジ、今年の夏はおまえ一人で田舎にいってこい」
「アンドレ、将来は絶対プロレスラーになれよな!」